JMEI 日本医療企業分析 No.014 XTANDIの次は、本当に育ってきたのか
アステラスを現在分析するとき、数年前とは見方を変える必要があります。
以前なら、
「XTANDIを中心とする製薬企業」
という理解でもかなり説明できました。
しかし現在は、
- PADCEV
- IZERVAY
- VYLOY
- VEOZAH
- XOSPATA
という5つの「重点戦略製品」を次の収益基盤として育てています。
そして2026年度第1四半期を見ると、この転換がかなり数字に表れてきました。
8月5日に発表された第1四半期売上収益は6,409億円、前年同期比26.7%増。Core営業利益は2,214億円、55.6%増で、Core営業利益率は28.1%から34.5%まで上昇しました。営業利益は1,845億円で94.9%増、四半期利益も1,418億円で107.2%増でした。為替の追い風はありますが、それを考慮しても非常に強いスタートです。
1.重要なのは売上26.7%増より「重点戦略製品43%増」
5つの重点戦略製品の第1四半期売上は合計1,603億円、前年同期比43%増となりました。
主な数字は、
- PADCEV 755億円:+36%
- IZERVAY 272億円:+70%
- VYLOY 211億円:+51%
- VEOZAH 149億円:+55%
- XOSPATA 216億円:+27%
です。
これはアステラスを見るうえで非常に重要です。
「XTANDIの次がない」という問題から、
「次の5製品をどこまで大きくできるか」
という段階へ移っています。
会社は2030年度までに、これら重点戦略製品の売上を2025年度比で2倍にする目標を掲げています。
2.PADCEVは「薬」以上の存在になりつつある
特にPADCEVは重要です。
PADCEV+KEYTRUDAは転移性尿路上皮がんで存在感を高め、さらに2026年7月には米国で筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)の術前・術後治療として承認されました。
シスプラチン適応の有無を問わない、新しいプラチナ製剤非使用の選択肢です。
つまりPADCEVは、
転移がん → 早期ステージ → 周術期
へ適応範囲を広げています。
製薬企業を分析するときは「新薬を何本作ったか」だけでなく、一つの薬を疾患のどの段階まで広げられるかも非常に重要です。
3.アステラスの面白さは「領域がバラバラ」に見えること
現在の重点戦略製品を見ると、
- PADCEV=がん
- IZERVAY=眼科
- VYLOY=胃がん
- VEOZAH=女性の健康
- XOSPATA=血液がん
と、かなり異なります。
これは第一三共のADCのような一本の明確な技術軸とは違います。
その代わりアステラスは、
「科学的に価値の高い領域へ資本を配分する」
というポートフォリオ型戦略を取っています。
研究開発でも、
- 再生医療
- 遺伝子制御
- 免疫腫瘍
- Induced Proximity
など複数の次世代モダリティを扱っています。
したがって今後の評価では、各研究テーマが本当にPhase IIIまで進む率を見る必要があります。
4.新経営計画で一番見るべき数字
2026年5月発表の経営計画2026では、2030年度までに、
10件以上のPhase III/ピボタル試験を開始
する目標を掲げています。
さらに2027年度までに5件以上を開始する計画です。
これはJMEIとして非常に追跡しやすいKPIです。
毎年、
Phase I → PoC → Phase II → Phase III
へ何本進んだかを見る。
売上高より早く、将来の成長力を評価できます。
JMEI総合評価
現在の数字を見る限り、「XTANDIの次がない」という以前の懸念からは明確に前進しています。
出典
- アステラス製薬 2026年度第1四半期決算資料
※本記事は企業・産業研究を目的としたものであり、特定の株式の購入・売却を推奨するものではありません。