JMEI Global Healthcare Leaders No.017 血糖測定器会社から「代謝データ企業」へ
DexcomはCGM(持続血糖測定器)の世界的企業です。皮下センサーから連続的にグルコース値を取得し、スマートフォン等へ送ります。しかしDexcomを単なる「糖尿病用センサー会社」と考えると、将来像を小さく見積もることになります。
売上成長だけでなく利益率も上がっている
最新決算はかなり強い内容です。2026年第2四半期売上高は13億8百万ドル、前年同期比13%増。米国は11%増、海外は19%増でした。さらにGAAP営業利益は3億1,830万ドル、営業利益率は24.3%で、前年同期から5.9ポイント改善しています。売上成長だけでなく利益率も上がっている、これは質の高い成長です。会社は2026年売上予想を51.8~52.5億ドルへ引き上げ、11~13%の年間成長を見込んでいます。
「インスリン患者だけ」の市場ではなくなる
最大の変化は、「インスリン患者だけ」の市場ではなくなることです。CGMは従来、インスリンを使う糖尿病患者が主な対象でした。ところがDexcomは、インスリンを使っていない2型糖尿病患者へ対象を広げようとしています。2026年第2四半期にはCONNECT無作為化試験で、インスリン非使用2型糖尿病患者でもDexcom CGM使用による血糖管理改善を示したと発表しました。
ここには巨大な意味があります。対象人口が、1型糖尿病からインスリン使用2型糖尿病、そしてインスリン非使用2型糖尿病へと広がるからです。
Steloがこの市場をさらに広げる
さらにSteloがこの市場をさらに広げます。DexcomにはOTC製品Steloがあり、医師の処方を前提とした従来CGMとは異なり、より広い利用者に「自分の食事・運動・生活とグルコースの関係」を見せる方向です。2026年第2四半期にはSteloアプリを刷新し、AIによるインサイトなどを強化しました。
ここからDexcomの企業像が変わります。糖尿病医療機器メーカーから、Metabolic Health Data Companyになる可能性があります。
2030年戦略も強気
2030年戦略も強気です。Dexcomは2026年5月のInvestor Dayで、2030年まで毎年10%超のオーガニック売上成長を目標に掲げました。さらに2030年には、Non-GAAP営業利益率29~30%、Adjusted EBITDA margin 36~37%を目指しています。つまり、売上を二桁で伸ばしながら利益率も上げる計画です。これが実現すれば、かなり強い企業になります。
最大の資産は「センサー」か、「データ」か
Dexcom最大の資産は「センサー」でしょうか、それとも「データ」でしょうか。私はここが今日最も重要だと思います。Dexcomは毎日、利用者から膨大なグルコースデータを取得します。そこへ食事、運動、睡眠、薬剤、体重などを重ねれば、「どの生活行動が、その人の代謝へどう影響したか」を解析できます。
つまり競争相手は将来、Abbottだけではなくなる可能性があります。Google、Apple、Ouraなどを含む、健康データプラットフォーム競争へ近づくからです。実際、Abbottも2026年8月11日にGoogleとの提携を発表し、Lingoのグルコース情報とGoogle HealthのAIを組み合わせる方向を打ち出しています。これはCGM競争が、センサー精度競争からAI・データ競争へ移り始めているシグナルとして重要です。
JMEI総合評価
最大の観察点は、糖尿病市場の外までCGMを広げられるかです。
出典
- Dexcom 2026年第2四半期決算
※本記事は企業・産業研究を目的としたものであり、特定の株式の購入・売却を推奨するものではありません。