JMEI Global Healthcare Leaders No.018 MRI・CTメーカーから「Precision Care Platform」へ
GE HealthCareは2023年にGEから独立した、世界最大級の医療技術企業です。現在の企業像は、Advanced Imaging Solutions、Pharmaceutical Diagnostics、Patient Care Solutionsの3事業で構成されています。売上規模は年間約206億ドルです。
2026年第2四半期売上高は53億ドル、前年同期比5.7%増、オーガニックでは3.5%増でした。より重要なのは受注です。オーガニック受注+11.1%、Book-to-bill 1.15倍、受注残239億ドルと、将来売上につながる注文が非常に強い状態です。
同じ会社の中で、利益率が29.6%と赤字に分かれる
第2四半期のセグメント別では、Advanced Imaging Solutionsが売上37.71億ドル・+7.9%・EBIT margin 13.9%、Pharmaceutical Diagnosticsが売上8.43億ドル・+15.6%・EBIT margin 29.6%、Patient Care Solutionsが売上6.75億ドル・-13.3%・EBIT margin-3.8%でした。
非常に興味深い構造です。同じGE HealthCareでも、放射性診断薬などは約30%の利益率であるのに対して、Patient Care Solutionsは赤字です。
これは企業分析で重要な点で、「医療機器会社として強いか」ではなく、どの事業が企業価値を作り、どの事業が足を引っ張っているかまで分解しなければなりません。会社もPatient Care Solutionsについて戦略的選択肢を検討しています。
競争は「磁場強度」から「画像データの使わせ方」へ
MRIやCTは一回売れば終わる大型機器に見えますが、実際には世界中に巨大なinstalled baseがあります。そこへクラウド、AI、画像解析、遠隔操作、ワークフロー、ソフトウェアを重ねれば、継続的な価値を作れます。
2026年7月にはMIM Anywareを発表しました。ブラウザ経由で医療画像やMIMソフトウェアへアクセスし、複数の医師や医学物理士などが同じ画像を遠隔で共同解析できる仕組みです。
つまり競争は、MRIの磁場強度だけではなく、「画像データを病院全体でどう使わせるか」へ移っています。
画像・診断薬・治療をつなぐTheranostics
GE HealthCareは画像診断だけでなく、放射性医薬品も持っています。さらに2026年7月にはMayo Clinicと、前立腺がんのTheranostics(診断+放射性リガンド治療)に関する共同研究を発表しました。画像やバイオマーカーを利用して、患者ごとの治療終了タイミングなどを最適化する研究です。
これはGE HealthCareの将来像を見るうえで重要です。PET画像、診断薬、AI、治療計画、治療モニタリングを一社でつなぐことができるからです。先日JMEIで取り上げたペプチドリームのRadiopharma × Theranosticsともつながります。
JMEI総合評価
最大の観察テーマは、「医療機器販売会社から、画像・診断薬・AI・クラウドを統合するPrecision Care Platformへ転換できるか」です。
※本記事は企業・産業研究を目的としたものであり、特定の株式の購入・売却を推奨するものではありません。