企業分析と未来企業発掘 事業を「選別する」企業と、技術を「取り込む」企業
本日は、すでに扱った朝日インテック、J&J、オリンパス、Abbott、シスメックス、Medtronic、中外製薬、Regeneronを重複対象から外し、日本 No.007=HOYA、海外 No.008=Boston Scientific とします。
本日の未来企業発掘|MiRus
そして今日、最も重要なのはこちらです。
Boston Scientificは2026年5月、非上場医療機器企業MiRusへ15億ドルを投資し、約34%の株式を取得しました。
これはJMEIの未来企業発掘として非常に興味深い案件です。
MiRusが開発しているのが、
SIEGEL Balloon Expandable TAVR System
です。
独自のレニウム合金を使用したニッケルフリーのバルーン拡張型TAVRで、8Frという低プロファイルのデリバリーを特徴としています。現在は最大1,025例を対象とするSTAR試験が進められています。まだ商業販売承認前の治験機器です。
さらに重要なのは投資契約です。
一定の臨床・薬事マイルストーンを達成すれば、Boston Scientificは追加総額30億ドルを支払ってMiRusのTAVR事業を100%取得できるオプションを持っています。
つまり、
Boston Scientific自身が「成功すれば非常に大きな価値を持つ技術」と判断している
わけです。
これはJMEIの未来企業探索で極めて強いシグナルです。
| Innovation Watch候補 | MiRus:登録候補 A |
|---|
今後見る項目は、
STAR試験結果 → FDA → 実臨床データ → Boston Scientificによる買収判断
です。
今日の比較|HOYA × Boston Scientific
一見すると全く違う2社ですが、企業経営という観点では共通テーマがあります。
HOYAは、「持っている事業を選別する」企業です。
Boston Scientificは、「外部の有望技術を取り込む」企業です。MiRusへの巨額投資はその典型例です。
つまり企業成長は、研究開発だけではありません。
事業売却、M&A、出資、提携、資本配分も企業競争力そのものです。
ここまで見るようになると、単に「決算の売上と利益を見る企業分析」から一段上に進めます。
今日のJMEI企業分析ゼミ
- HOYAが内視鏡事業を手放した場合、それは「医療企業として弱くなった」と考えるべきでしょうか。
- 高収益事業に資本を集中する企業と、多くの医療領域を持つ企業では、どちらが長期的に強いでしょうか。
- Boston ScientificのWATCHMANや電気生理事業の競争激化から、成長企業分析で何を学べるでしょうか。
- Boston ScientificがMiRusに15億ドルを投じたことで、MiRusの企業価値をどこまで高く評価してよいでしょうか。
- 「大企業が巨額出資したが、まだ製品承認前」の企業は、未来企業発掘でどのように点数を付けるべきでしょうか。
※本記事は企業・産業研究を目的としたものであり、特定の株式の購入・売却を推奨するものではありません。